安全通貨の円と言われる理由

 世界でテロや何とかショックなど、危ないことが起こると「円高(円が買われる)」になる。(最近、段々とこうならなくなってきているが)
 
ニュースで「安全通貨の円が買われ、円高になっています。」というのを聞いたことがあるだろう。(最近は段々とこういう表現されなくなってきているが
 
世界一、財政が悪い国で、国債の格付けも下がってきている(今や中国や韓国よりも下)国の日本にもかかわらず、安全通貨?
 
「どこが安全通貨やねん。借金まみれで今後人口減っていく国やぞ」と思う人もいるだろう
 
が、実際、世界で危ないことが起こると「円高」になることは事実。
なぜ、「円高」になるかというと、理由は3つ。結論から先に書いていく。
 
①日本は、対外純資産が世界一多い国だから。
②キャリートレードの巻き戻し。
③投機。
 
以上3点。
 
について。
「対外純資産」とは、簡単に言うと、外国にある資産のこと。(政府、企業、個人含めて)
つまり、日本は外国に資産をたくさん持っている。今企業は「海外進出」とか言って、海外に工場を作ったり、海外でビジネスをしようとしている。裏を返せば、「これから日本で商売しても、頭打ちなので、海外で稼ぐしかない」ということになる。
個人においても、アメリカ株の投資信託とか、世界債券の投資信託とか持っている人多いのでは。これも「対外資産」を持っていることになる。
 
対して、アメリカ人が「日本株投資信託」を持っていたり、アメリカ企業が「日本いいね~。日本でビジネスするために日本に工場作ろう」というのはかなり少ない。(成長が見込めない日本に投資するよりも、自国のアメリカでビジネスするでしょ)
つまり、アメリカの「対外純資産」はマイナスである。
 
ここからが本題。
 
世界で危ないこと(リスクオフ)が起こると、外国の資産を持っている人(企業や政府も)は、一旦、その資産を自国(日本)に戻す。
「中東で大規模な戦争が起こったぞ。やばい。俺の外国に置いてる資産どうなるんだよ。とりあえず、俺の世界株式とか全部売って日本の銀行に戻そう。そこから様子見」みたいなイメージ。ここで「円」が買われ「円高」になる。
 
 
について。
この「キャリートレードの巻き戻し」については、かなり専門的な話になるので、ザックリ説明する。
 
例えば、ロシア人が、お金を借りてインドに大型投資をする時、どうするか。
まず、日本の「円」を借りる。「円」は一応先進国の通貨で金利が低いから。
日本円を借りて、それをインドの通貨(ルピーという)に変えて、インドに投資する。直接インドの通貨を借りると、インドの通貨は金利が高いので利子を多く払わないといけない。だからまず、金利が低い(利子がすくなくて済む)「円」を借りて、その「円」をインドの通貨にかえる。
つまり、日本の円は、資金調達の「中継地点」で使われる。
 
そして、世界で危ないことが起こった時、「インドというか世界やばいらしいぞ、とりあえずインドに投資したもの引き上げよう。」となり、中継地点の「円」に戻る。この時「円」が買われ、「円高」になる。
 
について。
世界で危ないことが起これば「円高」になる(一時的に)ということは、世界中の人が知っている。
だから、「危ないことが起こった瞬間に円を買えば儲かる」と考え、その瞬間を狙っている投資家はたくさんいる。
こういう人達が「円」を買いにいく。まさに「投機」で儲けるためにやる。買いが買いを呼ぶ感じ。
 
これは、余談だが、2011年の東日本大震災の時、揺れ始めと同時に日本の建設会社の株が一気にストップ高(株価が最大まで上がること)になった。
つまり、
「揺れてる、大型地震がきた」→「街に被害が出たら、建設需要が高まる」→「建設会社は仕事が増えて儲かる」→「そうなると建設会社の株上がるから、すぐ建設株買おう」となり建設株が爆上がりした。
災害であろうが、テロであろうが、それを利用してお金儲けを狙っている人はたくさんいる。
 
 
以上3点。
ニュースキャスターの人も「対外純資産やキャリートレードの巻き戻しで、円が買われ~」と言っても、国民だれもわからない。というかニュースキャスターの人も専門家ではないのでわからない。
 
だから「安全通貨の円が買われ~」という表現をしている。
 
この表現なんとかならんのかと
 
 
また書きまーす
 
 
 
 
 
 
 

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