ほんの2~3年前までお客様が買う(人気の)投資信託ランキングTOP5はすべて、毎月分配金が出る投資信託が占めていた。年間で分配金が20%前後出るものが多かった。
今は、国の規制か、毎月分配のカラクリがお客様にバレてきたのか、人気が若干落ちてきているが、それでも根強い人気がある。
私も実際の現場で、お客様に投資信託の提案を行っていたが、私がオススメしていないにも関わらず、「毎月、分配金が出るものがほしい」という声がたくさんあった。
これ程、お客様から人気があるにも関わらず、証券マンが自分のお金を投資する際、この毎月分配金型投資信託を買わない。買っている人(プロ)は、ほぼ見たことがないし、私も買わない。
正確に言うと「分配金が高いというだけで商品を選らばない」ということ。
要は、お客様ウケするものと、実際に商品を知り尽くしている人が買うものは違う。(投資信託においては)
よくセールスが言う、
「この投資信託を100万円買えば、毎月2万円分配金が入ってきます。元本が仮に損しても何年か持てば、もらっている分配金の合計で最終的にトータルでプラスになります(あたかも分配金が毎月たくさん出るので損しませんくらいの勢いで言う)。」というセールストークに反応するのであろう。知識がないお客様ほど、毎月2万円分配金が入るということだけに目がいってしまう(原理やしくみ、本質は見ない。というかわからない。わからないからこそ目に見える決まったことにしか目がいかない。)
これに関しては、お客様ではなく、売り手が100%悪い。あくどいとしか言いようがない。
結論、そんな甘い話があるわけがない。もう一度言う。そんな年間で20%も25%も分配金を出し続け、長く持てば損しないとかいう魔法の商品はない。
以下、なぜ毎月分配金型投資信託(高いパーセンテージ分配金で出すもの)を買うべきではないかという理由を書く。
※若干、伝わりづらいかもしれないがなるべくわかりやすく説明します。
例えば、「米国不動産ファンド」という投資信託で分配金が年24%出るものがあったとする。
どういう投資信託かと言うと、名前の通り、「アメリカにある不動産」に「米ドル建て」で投資をする投資信託である。
実際の、アメリカの不動産の利回りは約4%程である、加えて米ドルの金利が約2%程か。(数字はアバウト)
4%+2%=6%。
要は、この投資信託は6%でまわっている。
「実際は、6%でしかまわっていないにも関わらず、24%もお客様に分配金として出している。」
差額の18%はどうなっているのか?この18%は元本から切り崩して分配金が出ている。仮にアメリカの不動産価格か為替が18%上昇すれば、元本にキズがつかない。
つまり、分配金は実際の利回りとは関係がないし、実際の利回り以上に分配金を出している可能性が毎月分配のものには多い。
そもそも、分配金なんて投資信託を運営する側が自由に設定できるし、元本を切り崩すパターンが続けば(ほとんどこうなる)分配金を下げてくる。
本題であり、本質のところを言うと、
「分配金をもらわない方(再投資)が、相場が上がる局面では増える(複利運用)。」
相場が下がる局面では、「分配金をもらった方が得(下落率が低かった)」になるが、そもそも投資信託を買う時に、下がると思って買う人はいない。
「投資信託を買う」という行為と「分配金をもらう」という行為が矛盾する。
分配金が異常に出る、投資信託は買わない方がいいということだけ覚えといて下さい。分配金が出るものでも「再投資」にした方が個人的にはいいと思います(そっちの方が理にかなっている)。